案外、中身を知らなかったり、うろ覚えだったりする人が多いようなので掲げておきます。
以下の6つの要件が満たされない限りは、TPPには参加しないというのが選挙前の公約です。
(1)政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD(投資家対国家紛争)条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
‥‥‥‥‥‥以上
TPPの是非については賛否、相当数あり、自民党内でも割れている状況で、ここでは触れません。ただ、もはやスタートしたに等しいTPPのありように関して、素朴に疑問に思うことのみ簡便に綴ります。
公約としての、これら6つの条項全て守られるかどうか、竹島の日の政府主催式典が中止ないしは日延べになったことからも、断言は出来ませんね。それに、安倍さんの声明文は「取りようによっては」、かなりレトリックに工夫が凝らされていて・・・・意図したかどうかは知りませんが、要するに後で言い訳可能なトリッキーな文言にはなっています。
たとえば、
「予め約束することは求められない」という表現。⇒前もって約束することは求められてはいなかったが、しかし「結果として」話し合いの末、こうなった、という言抜けが可能です。
確定であるなら「・・・・は、無いという確約を得た」ですね、たとえば。
「TPPでは聖域なき関税撤廃が前提ではないことが明確になりました」
前提ではない ⇒ 前提にはなかったが、その後の話し合いの結果、日米間の諸般の事情を鑑みて、聖域は設けないことが妥当だという結論に至りました。
「予め」と「前提」が、レトリックないしはごまかし文(を意図したかどうかは不明ですが)のキーワードです。いずれも、「今の段階では」という含みであり、その後の変化がニュアンスとして言語に含まれています。
・・・・杞憂かもしれませんが、言葉が明快でないのが気になります。
後は余談ですが、TPP推進論者の中にはISD条項程度で騒ぐなという
論調もありますが、だったらなぜ自民党がわざわざISD条項には
同意しない旨、政権公約に盛り込んだのか訊いてみたいところです。
それと、いいのかな? とふと思うのは、いわゆる安倍自民擁護派というよりは、
熱烈な無条件支持者の中に少なからずいるのが、安倍首相がまだ「参加を表明したわけではない」として、売国報道がミスリードしているふう意見の持ち主です。
ものごとはもはや、参加のほうに軸が著しく傾いているかと思いますが、
彼らの言い分を仮に是として、その後もし安倍自民が参加を決定したら、
彼らの立場が崩壊しませんか? 要するに、「TPP悪」が彼らの立ち位置であり、
だからこそ安倍さんがそのようなものに参加を表明するわけがない、
してはいけない、という意見であり、それが安倍自民が参加決定となると、
いささかまずい立場になるのでは。
それならそれで、それは「なかったこと」として、また無条件支持者に戻るのでしょうか。民主党政権下でのTPP参加は反対だったが、安倍自民なら信頼して
任せると大真面目の意見も見かけ、驚くばかりです。そういう問題なのですか?
TPP自体には問題はなく、政権に帰する事柄でしょうか。
交渉力の有無を言いたいのでしょうが、その前にTPPの是非論が来るべきでは
ないかと思うのですが。